この記事では、5年ほど過敏性腸症候群(IBS)に悩まされた筆者があえてよく食べることで克服できた(治った)体験談を綴っています。
以前は外出したり食事をしたり、ことあるごとにお腹が痛くてトイレに駆け込む毎日が続いていました。
過敏性腸症候群をわずらっている方には、この辛さがわかっていただけると思います。個人によって症状は様々ですが、過敏性腸症候群は大きく分けると3つに分類されます。
- 下痢型
- 便秘型
- 混合型
筆者は下痢型の過敏性腸症候群と病院で診断されました。
特に電車に乗っている時や会議中はトイレに行くことができず、閉鎖的な空間はほんとうに苦痛です。外出することもままならずふさぎ込んでしまう日も多々ありました。
すべての人に当てはまらないかもしれませんが、過敏性腸症候群ですぐにお腹の調子が悪くなってしまい、困っている方のご参考になればと思います。
過敏性腸症候群は機会損失が大きい
過敏性腸症候群とは、検査を行っても炎症や潰瘍といった器質的(生体の器官を形づくっている構造的・形態的な性質に関わる)疾患が認められないにもかかわらず、下痢や便秘、腹痛、腹部膨満感などの下腹部の不快な症状が起こり持続するものをいいます。インターネット上では「IBS」と検索されていることも多いようです。
引用元:メディカルノート
過敏性腸症候群とは、臓器に異常がないにもかかわらず、原因不明の腹痛やお腹のゴロゴロが起こる疾患です。
まさに、この通りで実際に内科で腹部のレントゲンを撮り、医師に診察してもらいましたが特に異常はないと診断されました。
腸に炎症など問題が発生していないので有効な治療方法が確立されておらず、症状がひどくなった時に薬を飲んで抑える(頓服)しか方法がありません。
近年、過敏性腸症候群に悩まされている方が大勢いらっしゃるようで、日常生活も困難な状態が続きます。
例えば、以下のようなことが困難になります。
- 仕事が出来なくなる
- 授業が受けられなくなる
- 好きなことができない
- 好きな物が食べられない
支障が出てくると機会損失が大きくなり、普通の生活をすること自体が苦痛になってしまいますよね。
それでは、筆者が何をして過敏性腸症候群を克服できたのかをご説明します。
過敏性腸症候群(IBS)をどうやって克服したのか?
内科で過敏性腸症候群と診断されると通常は頓服薬を処方されます。しかし、処方された強い下痢止め薬は気分が悪くなるので服用しませんでした。
お腹を下しているのに薬で強制的に止めていると、いつまでもスッキリしなくて、ずっと不安な状態になってしまって僕には逆効果だったからです。
しっかり食べることで克服できた
すぐにお腹が痛くなってしまうので、どうしても食事の量を減らそうと考えてしまいます。しかし、正常な腸の状態の人は毎日しっかりと食べていて、腸内運動が正常に行われています。
食事の量を減らし、すぐに排泄してしまうと腸の中に便が少なく、水分が多い状態で下痢として排泄される原因となります。
休日の前夜から始め、あえてしっかりとご飯を食べることを意識しました。
精神面も重要ですが、腸の運動を正常に戻さないといつまで経っても過敏性腸症候群は治らないと考えます。
規則正しい生活と食物繊維が豊富な食事をとり、正常な腸の状態へ戻すことで正常な形の排泄することが多くなります。
お腹を下す原因を追及した
以下は筆者がいつもトイレに駆け込みたくなっていた場面です。
- 朝食を食べてすぐ
- 出勤前
- 電車に乗る前
- 電車に乗っている最中(一駅でもツライ)
- 駅から会社まで移動時
- 朝礼前
- 昼食中
- 昼食後
- 退勤前
- 会社から駅まで移動時
- 電車に乗る前
- 電車に乗っている最中
- 駅から自宅まで移動時
- 夕食中
- 入浴前
- 入浴中
改めてトイレに行きたくなる場面を確認してみると移動中や電車に乗る場面など、「すぐトイレに行けない時」にお腹を下しています。
逆に平気だったのが休日です。
外出する予定がなく自宅にいる時はまったく平気で「トイレに行けない不安=ストレスが原因」で過敏性腸症候群を発症しているのだと確信しました。
市販の整腸剤や下痢止め剤を服用していても過敏性腸症候群には効かないので、お守り程度の気持ちで常にポケットに忍ばしていました。
市販の整腸剤や下痢止め薬を携帯していると、気持ちが落ち着きすこし症状が軽減されます。この頃から過敏性腸症候群は精神面から発症するものだと気付き始めました。
ストレスを溜め込まない・気楽にとらえる
神経質になりすぎるとすぐにストレスとなるので溜め込まないことが重要です。
神経質になっていると自分では気が付きにくいもので、例えば走行中の電車に「トラブルが起きる」なんてことは普通の人は考えません。
食事中に「お腹が痛くなったらどうしよう・席を立っては失礼だな」と考え過ぎることもストレスの要因になり得ます。
トイレに行く回数が多いのであれば「お腹が痛いキャラ」をあえて演じることも有効な策のひとつと考えます。「お腹が痛いキャラ」が定着すれば、仕事や会議の途中で抜け出しやすくなった経験もありました。
いつでもトイレに行けると自己暗示することで不安な要素を軽減することができます。
精神的な要因で腹痛が起きている可能性が高いので、なにごとも気楽にとらえることに専念することで徐々に克服していきました。
低FODMAP食は関係なかった
- F:発酵性
- O:オリゴ糖
- D:二糖類
- M:単糖類
- A:および
- P:ポリオール
低FODMAP食とは、上記の頭文字を並べた食べ物です。
低FODMAP食は症状改善に有効なのか?日本消火器病学会のガイドラインのCQ4-3にはこう掲載されています。
IBS症状を発症しやすい食品の摂取を控える食事療法は有効である。低FODMAPダイエットはISB症状に有効であることが確認されている。ISB症状を誘発しやすい油脂、香辛料の摂取回避は症状改善が期待できる。一方、高繊維食の摂取はIBSの便秘症状に対して有効である。IBSにこれらの食事指導・食事療法を行うことを提案する。
引用元:日本消火器病学会 機能性消化管疾患診療ガイドライン2014‐過敏性腸症候群(IBS)
IBS症状を発症しやすい食品とは、主に小麦(パン、うどん、パスタ)や玉ねぎ、にんにく、果糖(ジュース等)、人工甘味料、牛乳、ヨーグルト、大豆などです。
しかし、筆者は特定の食べ物を避けることなく普段の食事をしていました。毎朝、朝食に食パンを食べていましたし、果糖が含まれた一般的な清涼飲料水(ジュース)も普通に飲んでいました。
納豆も好物でよく食べていましたので特別な食事制限をしなくても、ストレス性の過敏性腸症候群の場合は自力で克服することができると体験から感じています。
- スナック菓子
- キムチ(辛いもの)
- アイスクリーム
上記3つの食品は低FODMAP食とは関係なく、相性が悪くて下痢になる可能性が高かったので避けていました。
日本消火器病学会 機能性消化管疾患診療ガイドラインにも、油脂、香辛料はISB症状を誘発しやすいと記載されています。
それぞれ個人差があり、何を食べたらお腹を下す症状が現れるのか要検証です。
トイレは短時間で複数回行く
「外出先でお腹が痛くなったらどうしよう」という不安を取り除くために、まず安心することが過敏性腸症候群にとって重要だと考えます。
筆者が克服するために取り組んだことが一回のトイレに長時間こもるのではなく短時間を複数回に分けることです。
精神的にお腹を下していると不思議なことにトイレから出た途端にまた腹痛が起きますよね。表現が難しいのですが、外出先でトイレに行くの分を先に自宅のトイレで済ますイメージです。
一回目の排泄後にすぐトイレから出て、しばらく(5~10分)経ってからまたトイレに戻ります。
そうするとまた次の便意がくるので「完全に出し切った」という感覚になり安心することが出来ます。
トイレの中でスマホを見ない
長時間トイレにいるとスマホをついつい見てしまうことが多いと思います。
トイレの中でスマホを見ていると排泄に集中できなくなり、全部出し切ることができないことが多いです。気が紛れてしまうのでスマホを見ないでしっかりと集中することをおすすめします。
スマホの画面に広がっている様々な情報が目に飛び込んでくると、気が散って便意を感じなくなってしまいます。
それに、スマホ画面を見ていると前かがみになってしまうことが多く、お腹の中が押しつぶされ排便の邪魔をします。できるだけ背筋を伸ばした正しい姿勢を心掛けました。
トイレに行けない場面に遭遇する前に全部出し切ったと思うことができると、安心して外出することができる可能性が高くなるので一度試してみてください。
過敏性腸症候群になったきっかけ
筆者が過敏性腸症候群になったきっかけは外出先で半分漏れてしまったことです。
お腹が痛くなってきて駅のトイレに行けばよかったのですが、会社まで我慢できると思って歩いていると限界がきました。
閑静な住宅街でコンビニなど、施設がなくてどうすることもできなくなってしまい、それから「トイレに行けなかったらどうしよう」と不安な気持ちが募るようになりました。
SNSを見てもトイレに行けなかった不安・恐怖心・ストレスから過敏性腸症候群を発症する方が多いようです。
過敏性腸症候群になったきっかけは、高校受験のストレスだった。難関高で学費が安い高校、そこしか行かせないよという、母からのプレッシャーで、受験日付近からそれは始まり、難関突破してからも治らず、数十年かけ現在に至る。
— 千本松子 (@VJBTzXvlP7TmUsz) October 20, 2019
様々な要因で一度、過敏性腸症候群をわずらってしまうとなかなか克服することができなくなります。
過去にあった「不安」を取り除く(忘れる)ことも、精神的に有効だと今までの体験から考えることができます。
過敏性腸症候群は電車に乗る前が一番つらい
一番お腹の調子が悪くなる場面が電車に乗る前です。
閉鎖的な空間で腹痛が起きてもトイレへ行けず不安な気持ちになります。万が一、電車にトラブルが起こり「長時間閉じ込められたらどうしよう」といつも考えていました。
電車に乗る前に必ず駅のトイレに行っていましたが、通勤時間は駅のトイレが混んでいて我慢するのがつらかったです。
その他に会議や飲み会がある日は不安で、朝からずっとお腹の調子が悪くなります。
内科に通っても頓服薬の処方だけで解決しませんし、日常生活が困難なままではいけないと思ったので、過敏性腸症候群の原因を探り自力で克服することにしました。
過敏性腸症候群を克服した体験談まとめ
過敏性腸症候群を自力で克服するためにしたことをまとめます。
- あえてしっかり食事を摂る
- 調子が悪くなる原因・タイミングを考えた
- ストレスを溜め込まないように気楽に考える
- トイレは短時間・スマホを見ない
この4つのことを実践したところ腹痛の頻度が徐々に減っていき過敏性腸症候群を治すことができました。
今では普通に電車に乗れますし、外出しても大きい方のトイレに行くことは滅多にありません。人にあまり理解・認知されていない過敏性腸症候群は本当に辛いですよね。
この記事に書いてある筆者の体験談が少しでもご参考になれば幸いです。