何屋さんとは明言しませんが、うちの実家は「物販系」の家業を営んでいます。
このご時世は大型店舗(イオンモールなど)の進出やネット通販が猛威を奮っていて、自営業が厳しいというのはご想像いただいている通りです。
「規模、販売価格、サービス、便利さ」などなど、まぁ太刀打ちできません。
先日、ブログの“文章力”を上げて、すこしでも「読みやすい、分かりやすい文章」を書く勉強に、書籍を購入しようと20年ぶりに街の本屋さんへ立ち寄りました。
※現在も乱筆乱文です。
久しぶりに本屋さんへ行ってみて「やっぱり街の本屋さんは厳しい」と感じました。うちと同じ「物販系」のお店でも、本屋さんは窮地に陥っています。
この記事では、経営に対して僕が思ったことを好き勝手に書き綴っています。マーケティングやビジネスに携わっている方は生の声として。
会社勤めの方には、自営業の厳しさをお伝えできればと思います。
街の本屋さんの「本」が売れない理由
昔は本を買うといえば「街の本屋さん」でした。それが、数年前から近隣の本屋さんだけでも5店舗は閉店しています。
僕自身も20年ほど前は、頻繁に本屋さんへ行って「ファミ通」や「少年マガジン」などを普通に買っていました。
当時は最新の情報源が「テレビ」か「本」しかなかったですからね。当たり前のことです。
出版流通学院のグラフによると、過去5年間だけを見ても書店数が激減しています。
インターネットの普及で、すぐに情報が手に入るようになり、通販では手軽に本が買えてしまう。さらには、電子出版物の登場が追い打ちになっているのは明らかです。
※CVS=コンビニ
それでも、「ページをめくる本が良い」という方が、まだまだいらっしゃるでしょうけど、間違いなく本屋さんの需要は減っています。
ネット通販の普及
実店舗を営む者にとって、通販サイトの普及は“かなり痛い”です。
- 家にいながら注文できる
- 商品の種類が豊富
- 在庫の確認が可能
- 送料無料
- 価格が安い
- ポイントが貯まる
など
今では当たり前のことばかりですが、ネット通販を優先して利用している人も多いはず。
有名なところでは、Amazonや楽天市場がすぐに思い浮かびます。大手ネット通販に個人商店が真っ向勝負しても消耗するだけ。まず100%勝てません。
個人が売れそうな商品だけを厳選したり、出来るだけ値引きをしたりして売ろうとしてもダメ。
店舗の敷地は限られていますし、そもそもの仕入れ値がネットで売っている価格なんてことがザラなのです。
僕が街の本屋さんに行った時は、買おうとしていた本が取り扱っていなくて、結局3店舗も探し周りました。
店員さんに在庫していないかを聞いてみても「お取り寄せになるので2~3日かかります」と言われてしまって、それだったら翌日に届く「Amazonプライムで買うわ」ってやっぱり思いましたね。
今やネット通販で本が買えちゃいます。在庫切れがほとんどなくて、自宅まで持ってきてくれて、ポイントで還元してくれる。
購入者のレビュー評価が書いてあって、中を確認(立ち読み)する必要もない。本は基本的に定価販売。まぁ、そりゃぁ通販を使いますよ。
本屋さんに限らずネット通販が強すぎて、自営業には辛い(売れない)ご時世となりました。打開策は、そう簡単には見つかりません。
本で付加価値を出しにくい
最近では「本屋さん+コーヒーショップ」のお店が登場しています。
イオンモールにある大型書店でも、買った本を持ってコーヒーが飲めるコーナー併設されていました。「色々考えているなぁ」と感心したところです。
大型店舗やネット通販に、個人商店が真っ向勝負しても消耗するだけ。
こんなことを上の方で書きましたが、自営業は本当にこの通りなんですよ。
例えば、街の電器屋さん。テレビを買おうと思った時に街の電器屋さんに行く人はほとんどいないと思います。
付き合いがあったり、紹介されない限りは選択肢すら出てきませんよね。検討するのはネット通販か家電量販店のどちらかです
たまにテレビで「なぜ街の電器屋さんで家電を購入する人がいるのか?」というような番組を放送していることがあります。
その理由は「ありがたいお節介」があるからなんです。
購入したテレビを搬入してくれて、配線やテレビボードの移動も操作方法の説明も、親身になって全部してくれる。
「おばあちゃん掃除機貸して」なんて言って、ホコリまみれのテレビボードを勝手に掃除してくれる。
※知ってか知らずか、うちの親父もこんな感じ。
家電はまだ良い方ですが、本は付加価値を付けにくいです。販売したら「それで終わり」で、アフターサービスという概念はない。
親身になって探してくれたり、好評な本を教えるくらいしかないのです。「コーヒー店が併設されているから、その個人書店に行くか?」と聞かれても僕は行きません。
無料で飲めるならまだしも、「有料のコーヒー」では、スタバやドトールの味や雰囲気に負けてしまいます。
心理的な付加価値が付けにくい
カスタマーエクスペリエンス。ザックリ簡単に言うと「心理的な付加価値」です。
1,000円のランチを食べに行ったとして、美味しいランチは「1,000円の価値」でしかありません。それでは、次のような状況はどうでしょうか。
- 美しいお皿に盛り付けてある
- オシャレな内装・個室
- 心地よいBGM
- ピアノの生演奏
- サプライズ・調理演出
- 親切・丁寧な店員さん
感動という「気持ちの付加価値」があって、「1,000円のランチが1,000円以上の価値」になりますよね。
飲食店では、こういった感動を与えることも可能です。
しかし、街の本屋さんは昔からある「ブックカバーやしおりのプレゼント」をするくらいしか出来ないと思います。
大型店でたまにある著者や有名人を呼んでイベントを開催するなんて費用的に無理です。本選びにBGMやサプライズは不要です。
つまり、本を購入するためだけの街の本屋さんは、大型書店やネット通販との差別化が難しいのです。
電子書籍の登場
スマホやパソコンで本が読み放題の所謂、“サブスク”というのが最近の流行です。まぁこれは本屋さんからすると「やめてくれ!」という感じだと思います。
僕自身も読み放題の「楽天マガジン」や「Kindle Unlimited」を利用しています。
楽天マガジンの場合は、わずか月418円(税込)の利用料で700誌以上が読み放題なんて普通で考えるとあり得ない。
Amazonでは電子書籍(Kindle本)の販売をしていて紙の書籍版よりも安価です。
モノによっては「Kindle Unlimited」に加入していれば0円で読める本があり、「本屋さんなんか要らないレベル」にまで達しています。
他人ごとではなくて、今の本屋さんは本当に辛いと思います。販売経路をネットに独占されかけていても、自分自身ではどうしようも策がないのですから。
無責任といいますか矛盾になってしまうのですが、このブログ(アタプラ)でも「楽天マガジンは安くて便利」と、記事にして紹介させていただいています。
結局のところは、利用価値があるから皆が使うんですよね(そっちへ流れる)。
>>楽天マガジンの雑誌読み放題を使って感じた本音のメリットとデメリット
組織に所属しない自営業は自己責任だということは重々承知しています。幸いにも、うちで販売している商品が「サブスク」で使えるってことの認知度は今のところ低いです。
しかし、これから定額制で使えるなんてことが流行してしまうと、うちも本当に終わります。
話を戻すと、既に読み放題サービスが浸透していて、冷たい言い方をすると本屋さんはお先真っ暗。
これから沢山閉店していきそうなのは目に見えていますが、電子書籍が浸透した今の社会全体を個人が動かすには無力すぎます。
成功例:読まない本を売る
ここで一つ成功例を。
この前テレビで見た「頭が良いなぁ」と思ったお店が「読まない本を売る書店」です(名前をど忘れして検索しても見つからなくて店名不明)。
簡単にご説明すると、カッコいい表紙の洋書を集めて「インテリア用」として販売していました。今までありそうでなかった書店ということで、需要があって人気だそうです。
イメージとしてはこんな感じのアンティーク古書。
イミテーションは模倣という意味で、これは本物ではないですが、テレビで映っていた書店は本物の本でした。
ネット通販でも「ダミー」を売っているくらいなので、世間の需要が高いのは間違いなさそう。
ハリボテではない洋書があると、本格的なインテリアとしてオシャレを演出できますもんね。もう一度言いますけど、ビジネスとして「頭が良い」です。
やはり、個人で商売をしていくには大手や通販とは戦わず、切り口を変えた戦法が必要なのかもしれません。
さいごに
そんな僕は会社勤めから離れていて親を手伝っている身ですが、個人でお店を開いて稼ぐなんて厳しい時代ですよ本当に。
色々と書きましたが、立地条件(賃料)や人件費の高騰も、街の本屋さんで本が売れない(継続できない)理由の一つだと考えます。
本屋さんからすると分かり切ったお話で、付録付きのムック本は電子書籍では再現できません。
こういった「隙間を攻める手腕で対応してくしかないのかな」とも思います。しかし、付録付き雑誌でもネット通販で買えちゃいますね。
それに「電子書籍限定おまけつき」なんて商品(本)が登場しています。紙版よりも電子版の方が付加価値が高く、本屋さんの存在意義が分からなくなる日も近いです。
存続するか路線変更をするのか、キッパリ諦めるのか。個人にとってすぐには一歩を踏み出せない、難しい決断であります。