車を運転していて困るのが突然の故障です。時と場合によっては重大なことになっている恐れもあり、そのまま運転をしているとケガや事故をしてしまわないか心配になります。
- 走行中に変な音(異音)がする
- スピードメーター内のランプが点灯した
- エアコンが効かない
- ハンドルがブレる
- ランプの球切れ
など
このような故障が発生した時に、ディーラーに予約なしで飛び込んでも修理をしてもらえるのか?
まず結論からお伝えすると、手が空いている整備士がいれば基本的に修理をしてもらえます。
しかし、忙しくて診断する整備士がいなかったり、仕事の優先順位によっては断られることもあります。
無駄足になったり、診てもらえるまでの待ち時間が長かったりするので、まずは「今から行っても大丈夫?」と電話を一本入れてからディーラーへ向かいましょう。
事前の連絡があるとディーラー側は少しでも段取りを組み直せます!

僕は元整備士でディーラーに14年間在籍していました。この記事で詳しくご説明します。
ほとんどの場合、ディーラーは予約なしでも修理をしてもらえる


冒頭で「基本的に修理をしてもらえます」とお伝えしました。
「修理」と言っても整備内容は様々。ディーラーに予約なしでご来店されたお客様のご用命を聞いて、明らかに運転に支障をきたす場合や月間ノルマに関係する修理は忙しくも受けます。
例えば、異音やスピードメーター内のランプ(チェックランプ)が点灯した車両を忙しいからといって、診ずに帰してしまうと取り返しのつかないことにもなりかねません。
そのため、異常系は必ず診断します。



修理の前に修理内容の説明と見積書の提示をしてもらえます。
月間ノルマは次のような項目です。
- 車検や点検の台数
- リコールの実施台数
- タイヤ・バッテリーなどの売上個数
- ケミカル品(添加剤)の売上個数
など
限られた時間のなかで整備ができる車両をかき集めないと、達成できないようなノルマが毎月設定されています。
営業マンが「点検の時期です。リコールに該当しています。」と、ご案内してもなかなか来てくれない方が結構いらっしゃいます。お客様からご来店していただけるなんて逃す手はないです。
月末になって「ノルマまで数件足りない」となった場合には“身内の車で自爆”をすることもあります。
ですので、ほとんどの場合は予約をしなくても無理に時間を作って修理(整備)をしてくれるのです。
次は忙しすぎて時間がないのに、どうやって仕事をまわしているのかをご説明します。
時間がないのに予約なしの修理ができる理由
時間がないのに予約なしの修理ができる理由を以下にまとめてみました。
- 異常対応役に任せる
- 今ある仕事を後回しにする(残業)
- 整備士の休憩時間を削る
- フロントマン・営業マン・店長に洗車を手伝ってもらう
- 車を預かる
異常対応役に任せる
大きな店舗はトラブル(作業遅れ)や急な来客に対応するサポート整備士がいて基本的に予約枠を埋めず、手伝いや事故処理(板金見積り)、予約なしの入庫車などで臨機応変に動きます。
“隠し予約枠”という表現が正しいか分かりませんが、同じ時間に来店が重ならなければ対応可能です。
今ある仕事を後回しにする(残業)
預かりの車を修理している時間であれば、後回しにして予約なしの修理を先に取り掛かります。もちろん預かっていた車も納期があり、期日が迫っていれば残業です。



一番オーソドックスな方法です。
整備士の休憩時間を削る





これは本当に辛かった。
小さな店舗は慢性的な人手不足です。働き方改革の制度が導入されてから「一定時間以上の残業がある=時間内に仕事ができない人⇒手当減」という、理不尽なルールが前に務めていた会社にありました。
「手当減」は自分だけではなく、店舗の連帯責任になっていて全員が対象。「自分が残業すれば良いや」というものではなかったですね。
そのため、自分(整備士)の休憩時間を削って急な仕事に対応します。
フロントマン・営業マン・店長に手伝ってもらう
急に増えた仕事でどうしても断れない場合は「フロントマン・営業マン・店長」に手伝ってもらいます。
修理後に何かあってはいけませんので、もちろん整備はせずに洗車をお願いすることがほとんどです。
(各々に仕事があって言いにくい)
※ディーラによってはフロントマンがツナギを着ていて「整備 兼 事務仕事」をしたり、スーツを着て整備はしない「事務仕事専門」の主に2パターンがあります。



余裕がなければ引き渡し(作業結果の説明)もお願いします。
車を預かる
予約がいっぱいでどうすることもできない場合は、代車で一度お帰りいただきます。



ディーラーに予約をせず修理に行ったら代車まで貸してくれて、出かけている間に直っていた。すごく親切な対応。
このような経験をされた方もいらっしゃるかと思います。
親切な対応には間違いないのですが、無理に受けた可能性も捨てきれないです。
というのも、「今はいっぱいで○○時の空き時間で作業にかかります」と、先に聞いているのなら待ち時間を退屈させないような良い配慮です。
しかし、説明もなしにあまりにも遅い時間に作業完了の電話があったのであれば、予約の合間合間(あいまあいま)に整備に取り掛かっていたはず。
休憩時間を削っていたり、誰かの手を止めていたかもしれません。整備ミスまではいかなくても、作業が雑になっている可能性も考えられます。
購入した店舗ではなくても修理可能


故障は突然発生するため、たまたま通りかかっただけの車を買っていない店舗に行っても取扱車種なら問題ありません。
もっと言えば、トヨタで購入した車をスバルのお店に行っても緊急性があれば、とりあえずは診てくれます。
(冷却水の追加など、応急処置程度)
それでも、できる限りはいつもの知っているディーラーに行くのが好ましいです。
なぜかと言うと、お客様とスタッフが初対面で“空気感”が分からないと話が通じないことがあるからです。
例えば、「いつものディーラーはこれくらいなら無料でやってくれたのに」とか「伝えたいことを理解してくれない」など。
フランチャイズ型のディーラーは地域(店舗)によってやり方が違います。トラブルになったり嫌な思いをしないように確認を取りつつ、お互いが気持ちよく対応したいですね。
予約なしの修理時間はどれくらいかかるのか?


タイヤ空気圧の調整やランプの球切れ交換、タッチペンなど軽微な修理は“予約の順番を抜かして”先に終わらすこともあります。



タイヤの空気を入れるだけなのに、作業が1時間後となると普通は怒りますよね。
逆にじっくりと診断をするような修理内容(異音や電気的な故障)は、「作業が始まるまでの待ち時間+診断時間(+部品交換時間)」ですので、通常よりも遅くなります。
整備士やサポート役の手が空いていれば、飛び込みでも通常の診断時間だけで完了します。
しかし、故障内容によっては部品の取り寄せが必要で、その場で直らないことも多いです。
メーカーから部品を取り寄せると最低でも入荷までに1日。近隣の部品商に在庫があっても数時間はかかります。
パンク修理のような数十分の手直しで終わるのか、部品を取り寄せたり1日仕事のような大掛かりな修理なのかは、診てもらわないと何とも言えません。
診断だけで特に時間がかかるのが「再現性のない異音」です。
いつもは変な音が鳴っているのに“今は鳴らない”という症状は、あらゆる条件で再現ができるまで異常かどうかの確認が取れません。



朝一番しか鳴らず、今までの最長で1か月間も預かったことがあります。
まとめ
ディーラーに予約をしないで修理をしてもらえるかについてをまとめます。
- ほとんどの場合、ディーラーは予約なしで修理をしてもらえる
- ノルマに関係する整備は無理にでも引き受けたい
- 飛び込みは整備士やフロントマン、営業マンはしんどい
- 作業が雑になる可能性も
- 購入した店舗ではなくても対応してもらえる
- 待ち時間が長くなる可能性がある
- 修理完了までの時間は故障内容・症状による
軽微な修理や整備についてはすぐに作業を開始してくれるかもしれませんが、予約なしで急にお願いしても特にメリットがなくておすすめできません。
待ち時間が長くなったり、作業が雑になるデメリットの方が大きいです。
整備士や営業マンのためにも、「今から行っても大丈夫?」くらいの電話で構いませんので、まずは確認を取ってみてくださいね。