14年もの間、自動車ディーラーで働いていました。
この記事では、冬場の整備士はどのような仕事をしているのか?労働環境はどうなのか?について疑問にお答えします。
必ずやってくる冬は、整備士にとって過酷といっても過言ではないくらい辛い時期です。
毎日、寒さで震えながら吹きさらしの工場で仕事をしており、必要最低限の整備士しかいないので風邪をひいても休めないのが現実です。
- 暖房がなくて寒い
- 手がひび割れて痛い
- 冬用タイヤの入替えが重労働
それぞれについて詳しくご説明します。
冬場の整備士は暖房がなくて寒い
僕が務めていた工場では暖房がありませんでした。
もちろん、暖房がある工場もありますが、車の出入りや換気が必要な為に外の風がダイレクトに入ってくる工場の作りが多いです。
冬場の整備士の服装
暖房がなく、とてつもなく寒いので服装で体温調整をしなくてはなりません。
整備士は作業着に「ツナギ」を着ます。それだけですと防寒対策に不十分で中に着込んで寒さに耐えています。
- 発熱肌着(ヒートテックなど)
- トレーナー
- タイツ
- ネックウォーマー
- 使い捨てカイロ
発熱肌着やタイツは必需品となり、ネックウォーマーや使い捨てカイロも使うと効果的です。
たくさん重ね着した上に会社支給のブルゾンを着ることで何とか働ける状態。厳しい冬場の外はこれだけ着込んでも寒くて、簡単に風邪をひいてしまいます。
必要最低限の整備士しかいないので簡単に休むことが出来ず、風邪薬を飲みながらフラフラになって働くという過酷な日々が続きます。
デスクワークのような座って行う仕事ではなく、「立ちっぱなしの肉体労働を体調を悪くしながら働く」というのは非常に過酷な状況です。
フラフラな人間が自動車の安全を点検しているなんて、今思うとゾッとします。
冬場の整備士は手がひび割れる
冬場は乾燥しており、洗車用の洗剤や脱脂剤によって整備士の手がボロボロになります。
どのくらいボロボロになるのかというと、出血するくらいひび割れて指紋の間に隙間が開きます。
ひび割れができると、まるで刺青のように黒い油汚れが入り込んで春になるまで黒ずみが取れません。
ハンドクリームで予防・対策をするのですが、工業用業務洗剤の脱脂力が強くて、どうしても手がひび割れてしまいます。
整備士の俺の手はこんなもん
この時期はひび割れします(;_;) pic.twitter.com/BhPaUoN4BT— CafeKOU꒰•̫͡•ོ꒱S・E・N꒰•̫͡•ོ꒱ (@CAFEKOU011) March 28, 2017
整備士は手が汚いとか言われるけどそれがいいんよな。
冬は寒いすぎやし夏は暑すぎやし
洗車スポンジ凍るし
手は怪我するしひび割れするし
嫌なことも多いけど
それが楽しいからなんとも言えん🤔 pic.twitter.com/BjdKd9bsn3— おっちー (@_7000_k) January 21, 2019
Twitter上でも手がひび割れた整備士が複数見受けられました。
「それが楽しいからなんとも言えん」と思えるなんて素晴らしいですね。こういう人が整備士に向いていると思います。
- 冬は寒すぎ
- 夏は暑すぎ
- 怪我をする
- 手がひび割れする
- 人間関係・会社方針で嫌なことが多い
これが何年も続くと考えると僕には無理でした。
冬はスタットレスタイヤに入替え作業が重労働
整備士が行う、冬場の仕事といえばスタットレスタイヤの入替えです。
特に降雪や路面凍結の恐れがある地域では、予約が取れなくなるほど冬用タイヤに入れ替える作業が増えます。
この作業がなかなか重労働で、整備士が腰を痛める可能性が非常に高いです。
- 車にタイヤを積み下ろしする
- 袋詰めをする体勢が中腰
1本あたりホイール付きのタイヤが15~20kgの重さです。トランクや荷台にこの重さのタイヤを4本積み下ろす必要があり、なかなかの重労働です。
1台だけならまだしも1日の仕事でスタットレスタイヤの入替えは1台だけではありません。
数多くのタイヤに汚れ防止の袋詰めをするのですが、体勢が中腰になってしまい必ずと言っていいほど腰痛が起こります。
1日に何台もタイヤの入替え作業が入る冬場はとても辛い時期と言えます。そして悔しいのがスタットレスタイヤに入替え作業は儲からないということ。
1台タイヤを入れ替えても作業賃を2,000円ほどしか頂くことができません。
重たいタイヤを積み下ろす作業の「重労働」をしても時間ばかりが掛かって、ノルマの売上予算達成にあまり貢献できないのです。
結果、通常の車検や点検をする時間を確保する為に、昼休憩を犠牲にするというモチベーション低下を招く悪循環が生まれます。
まとめ
冬場の整備士をまとめます。
- 重ね着をして寒さに耐えている
- 暖房がない(効かない)寒さで体調を崩しやすい
- 手がひび割れてボロボロになる
- 冬用タイヤの入替えで腰を痛める
- 忙しいのに儲からない
冬の整備士は冷たい風が入ってくる工場で寒さに耐えながら働いており、体調を崩しやすい過酷な状況で働いています。
整備士の動労環境や給料の安さが問題視されますが、一向に改善されず担い手が減少している傾向にあります。
自働車整備士がいなくなる日はそう遠くはないかもしれませんね。